「松笠山」扁額 林 為龍 の紹介
扁額の寄進と「芸藩の三筆」 林 為龍(ハヤシ イリョウ)の紹介
扁額『松笠山』は林為龍の揮毫になり、享保13年(1728年)9月に寄進されたものである。林為龍は俗称円治といい、国老上田家に仕えた臣である。王義之の書風を極め名筆家としてその名が高かった。
墓石は広島市中区小町の本照寺に現存し墓碑銘によれば、没年は安永7年(1778年)享年は不明。扁額長寿であったと思われるがたくさんの作品は戦災で消失されたものと思われるが、現在確認できるもので国泰寺の山門碑がある。上田家に仕えた林為龍と藩の祐筆と仕えた大谷喜四郎、吉川禎蔵の三人を「芸藩の三筆」と称したという。
右記の字は「松」の異体字、松笠山とはまつぼっくりの山との意。たくさんの松の巨木が林立したか往時が偲ばれる。
尚、この額の裏面には、次の墨書がある。
享年十三歳在 申九月
■ 寄進之 芸陽■杉村昌直
※ 「■」には解読不明の文字が入ります
著書の紹介
『物語・松笠観音寺』
著者:新中瑛亮